ぺいちくのブログ

本と建築のブログです。https://twitter.com/paychiku

建築の条件

坂牛卓の「建築の条件」を読んだ。

建築の条件 (「建築」なきあとの建築)

建築の条件 (「建築」なきあとの建築)

 

久々にこういった網羅的な建築論の本が読めて(しかも割と最近までの状況が含まれている)少し頭の整理ができたような、見通しが良くなったような気がする。

この本を読むまでの僕の認識では、今はポストモダンがまだ続いていて(大きな物語が終わって)、それぞれ好き勝手に興味の赴くままに考えて、ちょっとづつ違ったバリエーションが量産されている時代だと思っていたんだけど、この本を読んで、「エコロジー」と「震災後」みたいな価値観は共有されているのかもしれないなと思った(もちろんそういったこととは無関係に考えている人たちはたくさんいるだろうけど)。そういった意味では大きな物語の再開の時代なのかもしれない。

「窓のない部屋の風景は昨日と今日で変わりようがない。しかし窓のある部屋では、昨日と異なる何かに窓を通して偶然触れる可能性がある。(p244)」「窓にはつねにそういう偶有適瞬間の瑞々しさがある(同)」と書かれていたのを読んで、窓はやっぱり大事だなあと思ったのと同時に、窓のない家(天窓はある)を設計した知人はいまごろどうしてるかなあと思った。