ぺいちくのブログ

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自由思考

中村文則のエッセイ集、「自由思考」を読んだ。図書館で借りた。

自由思考

自由思考

 

 この本はワイフが図書館で借りてきてくれた(僕は中村文則が好きなので読むだろうと)。とてもいい本だった。感謝。

三つの章に分かれていて、最初はわりとくだけた話(好きなAV女優の話等)、2つ目はまじめな話(政治、社会問題)、3つ目はいろいろ。

中村文則の小説はいつも暗いんだけど、最初の章を読むと、この人自体は冗談(やAV女優)も好きなおもしろいなんだなということがわかる。社会問題の話などは、ヘイトと表現の自由の何が違うか、本当に愛国心があるなら幼稚なことはすべきでない等、もやもやしてたことが分かりやすく整理されていてすごいなと思った。

この人の小説はほんとに暗い話ばかりで、でもなんだか読んだ後はなぜかすこし楽な気分になる。「暗さを肯定するために文学をやっている」「文化は全ての人に平等に開かれている」とどこかで書かれていたのを思い出した。

僕も大学生の時暇すぎて(バイトも受からないし、バスケ部もクビになるし、友人も特にできず)何をやったらいいかよくわからなかった時、図書館の閉架にこもって片っ端から本を読むというプロジェクトを自分で勝手にやって助けられた。

自分はいつか何か大きな過ちを犯してすべてを失ってしまうのではとなぜかたまに想像してしまうんだけど、そうなったらなったで仕事なんてやめてしまって図書館の本をまた片っ端から読んだり、NBA中継や海外ドラマをひたすらみたり、ジョギングとかバスケをしたり、それはそれで忙しいなと考えると心が落ち着く。