香山壽夫の「建築を愛する人の一二章」を読んだ。
放送大学の講義をまとめなおした本。この人の本はいつも同じようなことが書いてあるような気がするんだけど、それでもやっぱり読むとちゃんと建築をやらないといけないなと思う。
そもそもこの人の本を最初に読んだのは大学生のころで「建築意匠講義」で、
これを読んでそのころよく言われていた「誰でも出入りできるようなオープンな空間」とか、現代美術の本にとりあげられるような謎の形をしたものとかそういったものはもしかしたらあまりよくないのではと考えるようになった。ただ、ほんとうにいい建築がなんなのかはそのころの自分には分からなくって(今考えると当たり前なんだけど、そもそも今もよく分かっていない)全然設計課題が進まなくなったりそもそも最終的に課題が提出できなかったりしてやばかったけど、それっぽいものを体裁よく出すより、自分なりに確かなものがなんなのか考えることができてよかったんじゃないかと思う。少なくとも役に立ちつつ美しくする必要がある。ただその美の原理は結局誰でも本を読めばわかるといったものではない。ただ、この本の中でヒントは歴史の中にあると書いてあってその中からそれぞれが長い時間をかけて見出さないといけない(らしい)。