隈研吾設計のまちの駅ゆすはらに行ってきた。宿泊もしてきた。
正面の外壁は茅でできている。ブロック化された茅は回転して換気できるようになっているらしい。側面はパネル化した板張り。
中はこんな感じ。にょきにょき生えた枝が屋根を支えているように見える。
天井には丸太の端っこが使われている。丸太の端っこは木取り(丸太からどういった木材を取るかということ)でも余ってチップとかにしたりするしかないと聞くので、これは歩留まりを良くする上でもいい考えだなあと思った。原木の価値も上がるし、仕上材としてもローコストになるのでは。
部屋は和室に泊まった。
壁は織物ぽいクロスで、雲の上のホテルよりもいい意味で力が抜けてていいかなと思ったんだけど、ディテールというかやっぱりその辺は徹底して枠を消そうとするところがほんとにいいのかどうかうーむといった感じだった。
これなんかは正面から見たら縦枠がなくてすっきりみえるんだけど、横に回ると上枠の断面やアングルがみえてしまってほんとにこれでいいんだろうか。上枠の断面が四角ならまだいいんだろうけど、見附を小さくするためか、斜めにしてあるので、横から見た時があれなのでは。ちなみにエアコンは黒く塗ってある。
壁と床の取りあいは底目地になっているんだけど、建具とからむとこがこんな感じになっていて、これなら普通に畳寄せにした方がかえってすっきりするんじゃないかと思った。
枠をつけないとクロスもやぶれる。
洗面室と前室で壁仕上が変わるところも底目地ですっきりと。
ただ、引き戸を閉めると洗面室側からクロスがみえる。
洗面室の足元もこんな感じ。ペンキの出隅はやっぱ弱い。
今回は小姑みたいなことばかり書いてしまったけど、自分自身、すっきりさせようといつもディテールをこねくり回しているので、こういうのは本当に勉強になる。公共施設でもいいんだけど、宿泊施設は特にゆっくりみれるのでありがたい。
廊下の壁は吹き付け。隈さんとこのサインはいつもかわいいので参考になる。
帰りにこの施設の向いのカメラ屋さんによってコーヒーを買った。なぜかカメラ屋さんがコーヒーを売っているんだけど、他にテイクアウトのコーヒーをやっているところがないからやっているとのこと。なぜか話し込んでしまって、いろいろいい話が聞けた(隈研吾がコンペや入札の手続きなしで連続して受注していることへの不満や、たいした観光資源がないのに観光でなんとかしようとしてしまう自治体への不満など)。僕も地方でたいした観光資源のないところだし、ひらがなの「まちづくり」はなんだか苦手だから共感するところもあったけど、温泉は好みの泉質だったし、隈研吾設計の建築がたくさんあるから行こうと思ったのは事実だからなんとも複雑だった。