ぺいちくのブログ

本と建築のブログです。https://twitter.com/paychiku

現代思想入門

千葉雅也の「現代思想入門」を読んだ。

千葉雅也のほかの本も読んだことあるけど、ほかの本は読むのが難しかったりしたけど、この本はすごく読みやすかった。多分大学生向けに書いてある。

建築を勉強しているとなぜか現代思想の話になることがよくあって、前提条件としてその辺を押さえておかないと意味が分からないなと思って、学生のころに無理していろいろ読んだ。デリダフーコーバシュラール、レヴィストロース等、著作をそのまま読んでも意味わからんかったけど、日本の研究者が書いた新書を頼りに断片的に理解していた(それでも多分1/10もわからんかった)。この本は入門のためのガイドみたいな役割を意識して書かれているんだと思うけど、建築家が意味わからん文章を書いているのを理解する程度であればこれだけ読んだだけでもいいような気もするぐらい充実していた。それくらいいい本だった。

僕はこの本の中ではフーコーの話が好きだなとおもった。キリスト教世界の誕生によって、「やってはいけないこと(やってはいけないことをやってしまうかもしれないという闇)」の罪の概念が生まれて、個人、罪の意識、が生まれてこれが最近の妙な自己責任とかにつながると思うんだけど、それより前の人間(古代人)のことを意識すると、もっと自己本位で罪責性に至らない自己管理ができるのではということ。要はあまり内面にこだわりすぎたり、変に反省しすぎたりしなくてもいいのではということかなと受け取った。もっと自分なりの秩序付けがあってもいい(逆にそこはちゃんと考えたほうがいいかも)。この辺は前に読んだ國分功一郎の「責任の生成」の話とつながる。

有限化と逸脱の話もおもしろかった。僕も自分で自分のルールやルーティンを決めて縛りがちなんだけど、そのほうが快があるからなんだろうなと思った。会社員じゃないし、なにも決められてないから、逆にそれがなかったら逸脱だらけでわけわからんくなるんだと思う。