ぺいちくのブログ

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日本習合論

内田樹の「日本習合論」を読んだ。

日本習合論

日本習合論

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割と話がいろんな方向にいってたからもっと短い本でもよさそうだけど、そこもふくめてあまり単純にしないほうがいいのかもと最後まで読んでみて思った。

僕自身どちらかというとリベラル寄りでこの本と考えが近いはずなんだけど、途中からこの本に書いてある内容は左派にとって都合のいい情報の組み合わせのように感じながら読んだ。本というものはそもそもそういうもの(選ばれた情報が選択されて書かれている)だから、どうして自分がこういう感覚になってしまったのかまだわからないんだけど、この本から複雑なものは複雑なままに、というメッセージを受け取りながら、いろんなエピソードが散らばっているこの本の中で、どのエピソードも著者が選択した(それが単純化されているように感じる)エピソードなんだよなと思いながら読み進めていた(あたりまえなんだけど)。

最後らへんにあった日本語によるロック論争の話はおもしろかった。ぱっぴいえんどが洋楽と日本的な感受性ハイブリッドをつくりだしたという話。建築でも同じ時期に同じような話があったなと思った。インターナショナルスタイルに対してフランプトンがクリティカルリージョナリズムを出してきたころの建築。ヴァナキュラーや単なるリージョナリズムとは違う日本だと安藤忠雄、ほかにはバラガンやアアルトも含まれていたような。この辺のことを考えると純粋に日本的なものを抽出しようと思ってもそんなものはなくて、今ある日本やそれまでの歴史が日本で、これは間違ってるから本来のところへ戻さねばというのは無理筋な気がする。いろんなものが同時に存在しているのが現実だし、複雑なものは複雑なままにあるというほうが味わい深いと思う。

妹島和世も海外では日本らしいとか言われてるらしいけど、本人は日本らしさとか全然意識してないってだいぶ前に言ってたし、ほんとにそうなんだと思う。

 

そういえばこの間憲法も買って読んだ。

いい写真が入っててよかった。

改めて読んでみて、分かりやすいしいいことが書いてあるように思えたけど、これよりいいのがあるのかどうか、改正の必要があるのかどうかはちょっとわからない。建築基準法もこれくらいとは言わないけどもう少しわかりやすくしてほしい。