ぺいちくのブログ

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槇文彦 ことばと場所

a+uの臨時増刊「槇文彦 ことばと場所」を読んだ。

 

今年6月に亡くなった槇文彦のインタビュー本。インタビューは2021年から行われていて未公開だった。

インタビューは幼少期の話からはじまる。なんとなくわかっていたのだが、生まれや育ちが全然違って、槇家も母方の竹中家もすごい。やはり生まれや育ちがよくないと槇文彦のような建築家にはなれないのではないかと思わされる。本人が「decency(良識?)」という言葉が好きというのもこの辺にあるのではと思う。最近は違うかもしれないけど、特に戦後すぐに建築家になったような人たちはみんな生まれが普通の人とは違ってそう。学生時代の話、アメリカ時代、日本に帰ってきてから事務所設立の話は知らなかったことが多く、興味深かった。

僕は槇文彦が書いた本が好きでだいたい読んでいるし、つくられた建築も好き。建築については劇的な何かがあるわけではないけど、なぜかとてもいい。時間がたっても古くならないし、物理的にも古くなっていない(ちゃんと劣化しないようにつくられている)。

僕は槇文彦に限らず、モダニズム全盛(コルビュジエ、ミース、ライト)の少し後、ポストモダンの少し前の建築家たちがつくる建物が一番いいんじゃないかと思っている。アアルト、カーン、バラガン、スカルパ、ファンアイク、槇文彦まで(1900~1930あたりの生まれ)。CIAMではなく、チームXの世代。リージョナリズムでもあってヒューマニズムでもある。槇さんが「賑やかなオープンスペースでも、人々は孤独を愛している」というのは、ファンアイクのいう「丘とくぼ地」のイメージと似ている。都市のオープンスペースでぼんやりしたり、本を読んだりすることは、そのままdignityの関わる問題で、ずっとそこに関心があったんだろうなと思う。