「三谷龍二の10センチ」を読んだ。
木工デザイナー三谷龍二の松本にあるショップ「10センチ」ができるまでと、できてからの話が書いてある。
10センチは古いたばこ屋さんを改装したお店で、僕が松本に旅行で行ったときに寄ってみたけど、ちいさくてかわいかったが、中に入ると、愛想のないお姉さんが座っていて(確か編み物をしていた)、中はなんというか、緊張感があってこわい思いをした記憶がある。でもこれは僕がお店だと思って行ったからであって、これがギャラリーだとするとあれでいいんじゃないかと帰ったあとに思った。
文章も丁寧な感じがするし、そこから伝わる暮らしぶりも丁寧な感じがしていいなと思うけど、ちょっと気取りすぎなような気もするし、でもちょっとそういうのにまだあこがれるところもあって、なんというか、こういった丁寧派の人たち(中村好文とか松浦弥太郎)に対しては、愛憎入り混じるというか、複雑な気持ちになる。
それはやっぱり僕も大量生産の恩恵を受けて生活しているし、量産品の味気なさが(乱立した)作家の個性があるものよりもよく思えることが多いんだけど、自分がつくるものはそのどちらでもない、一見普通で変わったとこがないんだけど、きれいで気がきいたものをつくりたいなと思ってるからなんだろうな(つまり丁寧派と近い考えなんだろうな)。