ぺいちくのブログ

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建築家って

JIAが出している「建築家って」という本を読んだ。

建築家って

建築家って

  • 発売日: 2007/10/17
  • メディア: 単行本
 

 JIA(日本建築家協会)が創設20年にあわせて出した本。ずいぶん前に買ってずっと本棚にあったんだけどなんとなく読む気がしなくて読んでなかったんだけど、なぜか急に読む気になって手に取ったらさっと読めた。2007年の本だからちょっと時代を感じた。ちょうど耐震偽装事件があった直後だったのでその話が多かった。2007年から時間がたってたから読む気になったのかもしれない。

日本には建築の主な団体が4つあって、僕は建築士会と事務所協会には入っているけど、建築家協会と建築学会には入っていない。建築学会が出している「建築雑誌」は最近おもしろそうなので、入ってもいいかなと思っているけど、JIAにはたぶん入らんだろうなと思う。たまにJIAの会員の人から入会のお誘いがあるんだけどずっと断ってきた。それはたぶん自分の中で、自分は建築士だけど建築家なのかどうかよくわからんし、入るってことは自分で自分のことを建築家だと思っているって思われてしまうなという、他人からみたらどうでもいい自意識と、その名称にどうにも消化しきれないものがあるからなんだと思う。JIAが改善したいと思っている日本の建築士制度(JIAのHPでは建築士制度は機能していないと書いてある)のなかにあって建築家ってなんなんだろうということがまだ自分の中で消化できていない。それはJIAがなんとか整理しようと動いている問題そのものなのかもしれない。

海外ではたぶん建築士とかがなくて建築家(Architect)しかないんだと思う。建築士も建築家も英語では両方Architectになってしまうはず。こないだNETFLIXでみた「世界の摩訶不思議な家」という番組ではArchitectの字幕はなぜか建築士になってしまっていた(ここは建築家のほうが正しい訳のような気もする)。Architectの日本語訳はおそらく建築家が近くて、建築士の英訳はないのでは。あるとすれば建築のライセンス保持者というような意味の言葉。

日本の建築士は海外の建築家と違うのはよく分かる。日本で建築士免許を持っている人の中で設計活動をやっている人は一部で、役所に勤める人、施工の人、建材メーカーの人等いろいろいて、設計活動をしていない人のほうが多い。それを設計の人とその他の人に分けたいという主張もよくわかる。そこからさらに設計の人の中で特に優秀な人(JIAの言う、「すぐれた設計能力を備え責任感と倫理観をもつ人」)が建築家だと言われると、それはなんか自分からそこに入るのは野暮な気もするし、自意識も邪魔をする。ちなみにJIAは登録建築家制度というのをやっていてJIAが認定をすると登録建築家になれるらしいので、認定されてない人(JIAの登録建築家ではない人)は建築家を名乗るべきじゃないのかもしれない。

とはいえJIAの活動は立派なものが多く、特に若手の育成には力が入っていると思うし、僕も学生の時はJIAがやっているオープンデスクにはお世話になった。入会している人の平均レベルも他団体に比べると高いと思う。国際的な活動もUIAやARCASIAに参加とかあってそういうのはほかの団体ではできない。

僕も自意識が邪魔をせず自分が建築家だと胸を張って言える日がきたらJIAに入ろうかなと思うけど、ここまで書いてきてずっと「けんちくか」を変換するときに「建築課」になってしまうのでたぶん向いてないと思う。

僕はなんだかんだで建築士っていうのが、税理士や司法書士のような他の士業と同じようで気取ってなくて気に入ってるんだと思う。そもそも〇〇家みたいな名称はこの本の表紙のグラフィックにも使われているように、評論家、政治家、音楽家、歴史家のように、免許の名称ではないし、団体に認定してもらうようなものでもないようにみえる。ただ、欧米の建築家団体も登録機関があるみたいなので、これはもしかしたらそもそもArchitectの訳を建築家のような〇〇家ってのにしてしまったのがそもそも間違いだったのではという考えにまで至ってしまった…。