ぺいちくのブログ

本と建築のブログです。https://twitter.com/paychiku

謎の独立国家ソマリランド

高野秀行の「謎の独立国家ソマリランド」を読んだ。

 ずっと積読になってたんだけど、ようやく読み終えた。

ソマリアの氏族を平氏、源氏、藤原氏、北条氏など日本史とくっつけてわかりやすくしてあるところなど、面白かったし、これがなかったら全然理解できなかったと思う(これがあっても多少しんどかった)。

ソマリランドでの民主主義のシステム、問題が起こった時の解決の仕方など(男が一人殺されたらラクダ100頭で清算)、なんかシンプルいいなと思った。

日本の二院制をワイヤップに「それは意味がないな」と言われるのもよくわかる。

「与党が両方の議会で多数派なら、自動的に法案は可決されてしまう。もし上の議会(参院で与党が少数派なら法案は通らない。もし下の議会(衆院)で多数派が三分の二以上なら上の議会はいらない。どっちにしても意味がない)」仰せの通りで、返す言葉がない。

ソマリランドは国際社会に認められたくてここまで進化してきたと書かれていた。

そしてソマリランドを認める、もしくは安全な場所として認めることで「平和になり、治安もよくなれば、カネが落ちる」。戦争を起こしたり、治安が乱れている場所にせっせとカネを落とす行為は、暴力と無秩序を促進する方向にしか進まないとも。

建築家のためのウェブ発信講義

「建築家のためのウェブ発信講義」を読んだ。

建築家のためのウェブ発信講義

建築家のためのウェブ発信講義

 

この本に載ってる人たちのことは知ってる人もいるし、知らない人もいたけど、どちらも興味深く読めた。各ウェブサイトをのぞきながら読むととても楽しかった。そもそもこの本の文章から著者の誠実さが伝わる。

 うちの事務所にはホームページしかない(いわゆるaboutとかworksしかないテンプレのようなやつ)。事務所のアカウントでのツイッター、インスタ、フェイスブック、ブログはやってない。

ツイッターとブログはこの「ぺいちく」という匿名アカウントでやっている。実名ではSNSの類はやっていない。時間をとられるのがいやだというか、面倒というのもあるけど、なんとなくゼロ年代のような楽しさがインターネットからなくなってしまった(ように自分が感じているだけ)のが大きな理由かもしれない。

知らない人から問い合わせあっても困るし、たぶん対応できないから、小規模な事務所でそういうのができる人は本当に能力が高いというか、すごいなと思う。うちの事務所は知り合いか紹介か入札。

僕もこの本の著者と同年代で、学生のころ菊池宏さんのHPをしょっちゅうみてて、HTMLのタグ辞典を引きながら見様見真似でメモ帳を使って自分のHPをつくった。今の事務所のHPもその時つくったものがベースにある。 学生の頃は建築家のHPを巡回するのがほんとうに楽しかった。

この本を読んで、事務所の情報発信の仕方を何か変えようかなとは思わなかったけど、自分の考え方を深めたりするために何かやりたいなと思った。

僕も事務所をはじめたころは事務所のというか個人名のブログなんかをやってて、そこから集客とかはなかったけど、出版社や本の著者、わりと著名な建築家の方からメールをもらったりしてなんかそのころは楽しかったなというのを思い出した。

ただやっぱり子供の友達のおとうさんやおかあさんなんかが読んでしまったらどうしようといった余計な自意識が働いて、そういうのはもうできんかな…

営繕論

内田祥士の「営繕論」を読んだ。

営繕論:希望の建設・地獄の営繕 (建築・都市レビュー叢書)

営繕論:希望の建設・地獄の営繕 (建築・都市レビュー叢書)

 

 営繕という面倒というか一見地味なテーマにじっくりとりくまれた本。

僕も公共工事の修繕の設計や、民間の改修、用途変更等をやっていて、正直面倒だし、いっそのこと立て直したらと思ってしまうこともあったけど、この本を読んでなんだか営繕に希望というか、建築士としての使命感みたいなものもあるなと思った。

耐震改修やその他の修繕も数をこなされていて(それなりに歴史があって)、手法も確立されている。数をこなすなかで(量を担った技術)、不具合も出ていて、その不具合があるからその手法がダメというわけではなくて、新しいものに比べて不具合が計算できるということは信頼できるという考え方はなるほどなと思った。

 しかし槙さんにしてもこの人にしても「モダニズム」が大きく意識する対象になっているみたいなんだけど、やっぱ世代なんかな。僕らの世代以下の人たちはそこまで意識してないんじゃないかなと思う。

鳩の撃退法

佐藤正午の「鳩の撃退法」を読んだ。文庫で読んだ。

鳩の撃退法 上 (小学館文庫)

鳩の撃退法 上 (小学館文庫)

 
鳩の撃退法 下 (小学館文庫)

鳩の撃退法 下 (小学館文庫)

 

 おもしろかった。主人公が小説家で、作中作を書いていて、それがこの本そのものという謎の設定。どこまでが事実でどこまでが作り話なのか途中で分からなくなって(といってもどっちにしてもこれは小説だから作り話なんだけど、あくまで小説の中での事実と作り話という意味で)こちらを不安にさせるんだけど、その辺はうやむやでも読み進めれるくらいのぎりぎりの感じ。おもしろかった。

ニッポンの思想

佐々木敦の「ニッポンの思想」を読んだ。kindleで読んだ。

ニッポンの思想 (講談社現代新書)

ニッポンの思想 (講談社現代新書)

 

 西洋哲学の本は大学生の暇なときにいくつか読んだんだけど、日本の思想関係の本はかろうじて「構造と力」をたぶん読んだ記憶があって、あとは最近東浩紀とかを読んだくらいでほとんど読んでなかったし、かといってこれから読む元気や時間もないので、これを読めばわかるかなと思って読んだ。

引用が多くて若干読みにくかったけど(このへんはしょうがないと思った)、流れと登場人物とその特徴を追えただけでこの本を読んでよかったと思う。ほぼ10年前に書かれた本で、その時点で東浩紀の一人勝ちのように書かれてたけど、今でもそんなに変わってないかもしれない。東浩紀の本は最初の「存在論的 郵便的」は難しそうだから読んでなかったんだけど、そのあとの本はいくつか読んでみて読みやすかったんだけど、それも意識的だったということが分かった。

 

クォンタム・ファミリーズ

東浩紀の「クォンタム・ファミリーズ」を読んだ。

クォンタム・ファミリーズ (河出文庫)

クォンタム・ファミリーズ (河出文庫)

 

 平行世界が複数ある多元宇宙SF。途中から今どの世界にいるのかよくわからなくなった。というかそもそも本当に平行世界を移動しているのか、世界は本当にあるのかという疑いもでてくるし、そもそも現存在と虚構の違いってなんだっけといったようにわけわからなくするのが狙いなんだろうとも思う。

平行世界あるいは時間移動ものってやっぱり過去のうまくいかなかったことや失敗や過ちをなかったことにしたい、やり直したいといったことになるんだけど、この本でも根底にはそれがあった。

村上春樹の35歳問題(人生の折り返しを過ぎると可能性が収斂してくる)がこの本でもでてくるけど、確かに自分のことを考えてもあとはこの流れでいくしかないといった感じになっている。かといって別の人生の可能性を考えて涙がでたりすることはない。

平行世界物のドラマや漫画が最近多い気がするけど、なんか理由があるんだろうか。

 

新建築住宅特集 2018年1月号

久々住宅特集を買った。

新建築住宅特集2018年1月号/新年特大号<住宅の想像力>

新建築住宅特集2018年1月号/新年特大号<住宅の想像力>

 

妹島和世の巻頭論文、青木淳のプロジェクト、内藤廣の住宅論考が読みたくて買った。

青木淳の「両手ぶらり戦法」(相手方の希望をひたすら受け入れる)は僕も最近やっている。僕も自分で事務所をはじめたころはやりたいことがたくさんあって構成にこだわったり、ディテールをがんばったりしてたけど、最近は施主の要望をひたすら聞いたほうが謎なものができあがっておもしろいなと思っている。自分のボキャブラリーの外のものが出来上がるというか。

ただこういったやりかたは個人の施主の場合だけで、公共工事の時などは市民ワークショップでもやらない限り謎な要望は出てこないので、そういった仕事の時は自分でほとんど決めている。公共工事的なものが増えて個人の施主の仕事が減ってきたから、個人の施主の時くらいノーガードでもいいかなという感じになってきたのかもしれない。

住宅は結構難しいし、お金にもならないので、ここ一年くらいはやってなかったんだけど、内藤廣の住宅論考で「こんな難しい話はない。だから、試練の場、鍛錬の場として住宅の仕事は欠かせない」と書いてるので、つい最近いただいた案件は気が合うなと思ったら受けてみようかと思う。ただ、この雑誌に載ってる若手の人たちのように挑戦的なものは僕にはつくれないなあ…