ぺいちくのブログ

本と建築のブログです。https://twitter.com/paychiku

梼原町総合庁舎

梼原町総合庁舎をみてきた。隈研吾建築都市設計事務所の設計で2006年の竣工。

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外装はパネル化された木材(杉かな)。

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よく見ると日の当たる側の木は反っているけど、築10年近く建っているわりにはきれいなんじゃないかと思った。軒がしっかり出ているというのもあるんだろうけど、ちゃんとメンテナンスされているのかもしれない。

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構造は大断面の集成材(たぶん杉)。スパンはかなり飛んでいるようにみえる。交差した井桁状の梁がかみ合ったような横架材で飛ばしてある。面積は3000㎡を超えるといろいろ法的に厳しくなるので(耐火要件など)それ以下に抑えてあるはず。

柱の足元はこんな感じ。太めのドリフトピンみたいなのが打ってあるようにみえるけど、よくわからなかった。

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なんかすごいのがついていて、これもよくわからなかったんだけど、たぶんこれで開けたり閉めたりするんだと思う。

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総合案内板。これも板でつくってあった。

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トイレの床は湿式使用になっていた。今は屋内だと乾式が主流だと思うけど、たまに要望で湿式のリクエストがある(いままでそうだったからという理由がほとんどだと思う)。

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湿式だとトイレブースの足元は脚式になる。できれば巾木をつけたほうが落ち着いて用を足せると思うので、できるだけ乾式にもっていきたいところ。

非常識な建築業界

森山高至の「非常識な建築業界」を読んだ。

非常識な建築業界 「どや建築」という病 (光文社新書)

非常識な建築業界 「どや建築」という病 (光文社新書)

 

僕はこの人のことを国立競技場問題がおこるまで知らなかったんだけど、この本に限れば結構いいことが書いてあるなと思いながら読んだ。 

建築家=アーティストみたいな価値観だけになると確かにどうかと思うし、僕も槇さんのヒルサイドテラスみたいな建築がどちらかというと好きだけど、ヘンなとんがった建築もないとつまらないような気もするし、結局のところ多様性がなくなるのが一番つまらない状態だと思う。どんな建築がいい建築かについては、僕もずっと考えているけどまだ全然答えが出ていない。

アーティスト問題については、「アーティスト症候群」という本に書いてあるように、建築業界に限ったことではない。

paychiku.hatenablog.com

こういった承認欲求みたいなものは、最低限のものがそろった時代にはどうしてもでてくることなんじゃないだろうか。ただ、個人の表現を公共的なものでやってしまうのがどうなのかということになるんだろうけど。 建築は専門家と消費者の情報の非対称性が大きい分野だと思うから、良心的であることが大前提なんだけど、表現建築家みたいなひとたちも、それが社会とかクライアントにとっていいことだと本気で信じてやっているからややこしい。ヘイトスピーチをやる人たちもそれが悪いことではなくて、いいことだと信じてやっているというのをラジオで聞いてなるほどなと思ったことがある。

この人みたいに一般の人に建築のことをわかりやすく伝えることも大事だけど、一般の人の方も、文化的なあごの力というか、分かりにくいものをかみ砕く力をつけないと、結局わかりやすい価値観の方に流されていってしまうだろうからなかなかあれだなと思う。

実際国立競技場のこととかは、でかいとか、お金がかかるとか、木を使うといい感じだとかそういったわかりやすい話ばかりになってしまってあれだったし。

佐藤オオキのスピード仕事術

 佐藤オオキのスピード仕事術を読んだ。

 僕は400も仕事をかかえていないけど、多いときで10くらいはあって、今月も締め切りが3つあってやばい。こういう本を読んでなにか役にたつとは思っていないけど、やる気になったり、短期間のマインドセットを変えたりはできると思ったので読んでみた。

仕事を前倒しでやるのはいいことだと思うし、デザインみたいな仕事は案を出すのに時間をかければいいというものでもないのもそうだと思う。早く出した方が客もよろこぶし、余った時間で検討できるから精度も上がると思う。

設計の仕事なんてのも、早めに概略を決めて図面を描いてしまってからが勝負だなと最近よく思う。はやめに8割くらい図面を描いてしまってから残った時間で違和感のあるところやもっとこうしたらいいかなというのをチェックすることにたくさん時間をかけたほうがいい。

てことは分かっているんだけど、やっぱりたまにぎりぎりになってしまうのはなんでなんだろうか。

「罪と罰」を読まない

「『罪と罰』を読まない」を読んだ。

ラジオ( session22)に三浦しおんさんがでていたときに、この本のことを知って斬新な試みだなと思っていたところ、近所の図書館に入っていたのでつい借りてしまった。

タイトルどおり、ドストエフスキーの「罪と罰」を読んだことない4人が、ちょっとづつつまみ読みしながら内容を推理していくんだけど、ドストエフスキーのことをドストとか、ラスコ(主人公のラスコーリニコフ)のことを「いきなり帰るマン」といってみたり、終始茶化しながら(巻末では茶化したのではなく、胸をかりたと書いてあったが)話が進んでいくのが楽しかった。

カラマーゾフの兄弟」は、大学生の時だったか、修行だとおもって読んだら(これもかなり長い)結構おもしろかったから、罪と罰も読んでみようかな。長いのこわいけど。

session22ではヘッセの「車輪の下で」も同じように未読座談会やっててこれもおもしろかったから読んでみたい。

名作みたいなやつは読んでないのがまだまだたくさんあるから少しづづ読みたい(と前から思っているけどぜんぜん読んでない)。

正月から読んでいる山崎豊子不毛地帯も長すぎて、読みながら1/3くらいのページ数に省けたんじゃないかと思うけど、なんだかんだでおもしろい。

断片的なものの社会学

岸雅彦の「断片的なものの社会学」を読んだ。

断片的なものの社会学

断片的なものの社会学

 

いい本だった。

生きているといろんなことがあるし、大変だったりするけど、そのことを無理に分析したり、解釈したり、意味を与えたりしなくていいんだなと思った。すべてのものに意味なんてないんだけど、だからこそ自分の身の回りに起きる偶然がなんかすごいなと思う。

こういう考えに立てば、多様性とか運命のようなものを受け入れたりできて、失敗とかみんなとちがうものとかにもっと寛容になれるのでは。

未知なるものに出会ったときの「こりゃなんだ」っていう感覚を大事にしながら、謎について考えたり、謎を謎のままでおいとくことも必要だなと最近よく思う。意味のないものに無理に意味を与えようと、するとみんなやっぱりしんどくなるはずだから。

自分の仕事をつくる

西村佳哲の「自分の仕事をつくる」を読んだ(文庫版で)。

自分の仕事をつくる (ちくま文庫)

自分の仕事をつくる (ちくま文庫)

 

 タイトルだけでなんとなく僕が最近「丁寧派」とレッテル張りをしているものと同じ何かを感じていたから、この本はかなり前に買っていたんだけど、なんとなく気が進まなくてずっと読んでいなかった。正月にようやく読む気になって、読んだのだが、やっぱりいい仕事をする人たちのいい話が目立ったが、現実にそれができている人たちについてはやっぱりすごいなと思った。

当たり前のことではあるんだけど、僕が「丁寧派」と呼んでいる人たちは、気取っているようにみえて嫌らしい感じもするけど、丁寧なことができなくても、めざすことはそんなに悪いことじゃないなと改めて思ってきた。

こどもにテレビばっかみてたら目が悪くなるといいながら、テレビをみせているのと、何も言わずにテレビをみせているのでは、まだ前者の方がまだましなんじゃないかと思えるのと同じように、完璧に丁寧にはできないけど、丁寧(いい仕事)を心がけるだけでもだいぶ精神衛生的にいいんじゃないかと思う。

と本を読みながら思っていたら、文庫版のあとがきではこの辺を疑問に思った読者からのメールへの返答もあって、このへんについてはきちんと回収されていた。

僕自身、会社勤めをへて自分の事務所を持つようになったんだけど、どう考えても自分の事務所を持ってからの方がストレスもないし、求めに応じた仕事ができる充足感もある。まあ、会社勤めのときもそんなにストレスがあったわけじゃないし、同僚とわいわいやって楽しかったけど、なんとなく充足感が足りなくて、それをレジャー(バスケとか)で補っていた。

丁寧さについても、会社勤めの時よりも今の方がずっと検討に時間をかけていてめちゃくちゃ効率悪いはずなんだけど、だからといって生産性(収入)が下がっているわけでもない。この辺については会社は若手が他の人の分を支えているという構造がやっぱりあるのかもなとも思う(だからといって若手だけではあれだけの仕事をとってこれるわけじゃないから、単純な話でもない)。

EPSON EP-4004

EPSONのEP-4004を買った。

 今までメインのプリンタはエプソンのA3ノビまで出せるインクジェットのものを代々使っていて、今回はPM-G4500からの買い替え。紙送りがうまくいかないことが多くなったり、ヘッドクリーニングを何度しても印刷がきれいに出なくなった。5年くらい毎日使っているわけだから寿命だったんだと思う。

エプソンでA3ノビ対応はこれだけだから、今回はこれ一択だった(プロセレクションシリーズだったら他にもあるけど)。インクも今まで買っていたやつが使えるのでよかった。

インクは高いけど純正を使っている。何度か互換インクも試したけど、しょっちゅうクリーニングをするはめになったので、少々高くても純正がいいのではと今は思っている。互換インクで本体がはやくだめになっても、インク代より本体買い換え代の方が安いという人もいるけど、そういう問題ではなくて、クリーニングの時間がもったいないし、急いでいる時にきれいに出なかったら困る。

前のと大きく変わったところは無線LAN経由で使えるところだけど、まだそれは試していない。あと、印刷する時の音が少し静かになったような気がする。

うちではこのプリンタのほかにキャノンのカラープロッタ(A1)とブラザーの複合機(justio)があるけど、プロッタはめったに使わないし、justioもスキャンとFAX専用で出力用には使っていない。レーザーの複合機があったら便利なんだろうけど、今のところまだいらないかな。