ぺいちくのブログ

本と建築のブログです。https://twitter.com/paychiku

カフェの空間学

 「カフェの空間学」を読んだ。

カフェの空間学 世界のデザイン手法: Site specific cafe design

カフェの空間学 世界のデザイン手法: Site specific cafe design

  • 作者:加藤 匡毅,Puddle
  • 発売日: 2019/09/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 最近古い建物をリノベしてカフェ、シェアオフィス、ギャラリー等にするという依頼が立て続けにあったので、事例研究として買った。

雑誌とかでみたことあるのも多かったけど、著者のスケッチ入りで寸法とかも入っていて楽しく読めた。知らなかった海外の事例とかもあってよかった。

僕も事務所をはじめてもう少しで10年になるけど、しばらく新築の住宅はやらなくていいかなと思ってきた。僕が新築の住宅を設計しても、無難なものしか作らないから、設計力のあるビルダーと大差ない感じになる(建築知識ビルダーズに載ってるやつみたいなのになる)。それよりも小さくても公共工事の設計(これは専業の設計事務所しかできない)とか古い建物のリノベーションとかをやったほうが役に立ってるような気がするし、楽しい気がしてきた。

GA JAPAN 168

 GA JAPAN 168 総括と展望を読んだ。

GA JAPAN 168

GA JAPAN 168

  • 発売日: 2020/12/28
  • メディア:
 

 表紙は石上純也。ジョイントが目立つなと思った。多目的広場らしいけど、これほんとに居心地いいのかな。ただ単にこういうの作りたかったとしか…。性能とかが必要ない建築といった意味では豊島美術館に近いような気もするけど、あっちのほうが10年先行している。

総括と展望は藤本壮介伊東豊雄。本文でも書かれてるけど、毎年二川さんが今の状況(いい建築ができない)にイライラしていて面白かった。

中山エリカや山田妙子の評価が高くて、よさが分からないやつはだめだみたいな雰囲気になってたけど、正直僕にもあまりよさが分からない(見に行ってないから何とも言えないけど)から僕ももうだめかもしれない。かといって最近のでこれが面白かったみたいなのも思いつかないけど。

伊東さんの話の「美しい建築をつくりたい」みたいなのっていいなと思った。論理とか技術がすごくても美しくないものってやっぱりたくさんある。みんなが美しいと思うものってないかもしれないけど、だからといって論理とかワークショップとか建築はつくれないから。

KKシンジケートという隈事務所のパートナーがたくさん集まって話すという記事があったんだけど、どうやって忙しい隈さんと打ち合わせをするかという話に終始していた。所長と打ち合わせとか確認を取るのに苦労するのはなんかストレスたまりそうというか、いやだなと思った。僕が大学に行って論文を書いていたとき、主査の先生が東京の事務所に普段はいて、たまにしか地方の僕が通っていた大学にこない人だったんだけど、ほぼメールでのやりとりで、難しかったしこれでいいのかなと思っていた。今みたいにスマホもなかったから、決まった時間にしかメール見ないし。

これやこの

サンキュータツオの「これやこの」を読んだ。

 とてもいい本だった。サンキュータツオさんは僕が毎週聞いているラジオ「東京ポッド許可局」や「NBA井戸端会議」等でよく知ってるつもりだったけど、渋谷らくごでどんなことをしているのかはよく知らなかった。ラジオでも渋谷らくごのはなしはほとんどしてないんじゃないだろうか。

いろんな人との別れ(死による)の話。ラジオの「忘れえぬ人」のコーナーのような話。僕は大学の先生とも、事務所に勤めていたときの所長とも全然連絡とってないから特に師匠のような人はいないけど、今一緒に仕事させてもらっててお世話になっている人や、職人さん等、僕が地元に帰ってから仲良くさせてもらってるおじさんの友達は、みんなそのうち死んでしまうんだろうなと数年前から思っている。

82年生まれ、キム・ジオン

「82年生まれ、キム・ジオン」を読んだ。図書館で借りた。

82年生まれ、キム・ジヨン

82年生まれ、キム・ジヨン

 

 ずっと読みたかった本で、ようやく読めた。図書館でもずっと貸し出し中だった。

女性差別のフルコースのような内容で、あとがきや解説も興味深く読んだ。読みながら韓国も日本と同じような感じだなと思ったけど、解説を読んで日本と大きく違うことがあったなと気づいた。韓国には徴兵制があって、それが女性蔑視につながっているところで、ややこしい問題だなと思った。

この本に出てくる夫のほうはいい人だし男女平等で女性の社会進出も阻みたくないという考えの持ち主だと思うんだけど、仮に自分がそういう考えで合っても社会のほうが自分に男性優位(男がばりばり働いてがっつり稼ぐべし的な)を求めてきて、働いている限りそういったものに合わせないといけない状況が続いてしまって、知らないうちに妻の社会進出を阻んでいるといったことになってしまっている。

 

 

 

都市の〈隙間〉から まちをつくろう

大谷悠の「都市の〈隙間〉から まちをつくろう」を読んだ。

立ち上げ当初の不安定な時期を経て安定してくるとダイナミクスを失う、関わる人が増えるとトラブルも増える、「みんなの」とはいえ、「誰かの」ユートピアになってしまうと、他からみると誰かに占拠されている空間になる、等の指摘、分析は僕が今まで空き家を使ったまちづくりみたいなものに対するなんとなくもやっとしていたことをきれいに整理してくれていていい本だと思った。

やっぱりまちづくりに関わろうと思うと(この本にもかかれている通り)暇じゃないとできないと思った。自分は時間がなさすぎるし、建築士という肩書がグレーゾーンを許さない。事故があると責任をとらされる。こういった活動をやるために建築士の免許を返そうかなといった人に会ったこともあるほど。

この本にも書いてあったけど、最初は素人が自分のためにやる(DIYなら金はそこまでかからない)。少しづつオフィシャルな感じになっていくにつれて法適合の問題がでてくる(金がかかる)。僕が出ていくということはオフィシャルになるということなので金がかかる。省エネや耐震性のことと、良質なストック、空き家の利用についてはどう考えても矛盾するから本当に難しい。アドバイスを求められたら適合していないから適合させたほうがいいと言うしかない。結局は素人が自らやるしかない。こういった活動が都市に活力を与えているのはこの本を読むとよく分かるんだけど。

2010年代は日本でも空き家をなんとかしようとまちづくりワークショップが乱立した時代だったと思っている。コロナでそういったイベントは今はできないけど、今後はどうなるんだろう。少なくとも僕が住んでいる地域で行われたイベントはたいして効果がなかったようにみえる。この本にも書いてあるとおり、まずは自分たちのために空間整備する(子供が安全に遊べる場所がほしいとか)といった動機が先にないとだめなのかもしれない。それからすこしづつ規模が大きくなる。空き家をなんとかしないとという動機が先にあるわけじゃなくて。

そもそもドイツの東西統一(不動産価値の大きな動き)や難民問題(人口の大きな動き)がなければここまでになってないかもしれないと読みながら思った。そういった意味では日本は空き家は増えているけど安定しすぎているかもしれない。人口減少や高齢化は急激に進んでいると言われているけどこのドイツの事例ほど急激じゃない。

 

東京百景

又吉の「東京百景」を読んだ。

東京百景 (角川文庫)

東京百景 (角川文庫)

  • 作者:又吉 直樹
  • 発売日: 2020/04/10
  • メディア: 文庫
 

 文庫で読んだ。(最近文庫になった)

エッセイ集で一つ一つは短くて、空き時間とか仕事の休憩に読むのにちょうどよかった。これを書いていた時期は、又吉が火花を書く前で、このエッセイに流れている感じのようなものは火花とか劇場と同じで好きだなと思った。この本の話が実話だとすると、火花とか劇場は又吉自身の話ではないとしても、又吉自身の話が少し混ざっていることになる。そもそも僕がこういうのが好きなのは同じゼロ年代に20代を悶々と過ごしたからで、修業時代は金がなかったし、自分がそもそもこの仕事に向いているのかも分からなかくて、諦め時もわからなくてしんどかった。この本でも「自分は目立ちたがりでもないし、絶対芸人に向いてない。でも好きやし。」と書いてあったけど、ほんとにそんなようなことを考えていた。

 自分が20代の時にこの本があったらなと思ったけど、同時代を同年代で生きているのでそれは無理な話だった。

MX Vertical

ロジクールのMX Vertical

手首の角度が自然な状態でつかえるというマウス。確かに手首をひねらなくてもいいので楽。その分ボタンが押しにくかったり慣れるのに時間がかかるかなと思ったけど、すぐ慣れた。いまはこれを右手のメインで使っている。メインと言っても最近は左手マウスが半分以上左手マウスなので左にMX Anywhere2、右にこいつを置いている。キーボードはCRAFT。右手が疲れたら左手、左手が疲れたら右手、テンキーを使うときは左手マウスといった具合で使い分けている。左手マウスも長くやってると違和感なくなってきた。去年あたりから続いていた右手の痛みもずいぶんよくなった。なかなか元通りってわけにはいかないのかもしれないけど、これ以上使い続けるとやばいなとかいう匙加減もだいぶわかってきた。

あと、CADのソフトを変えるかどうか検討中。今まで働いた事務所や会社にあわせてvector works、auto cad、jwwと使ってきて、cad本体の購入価格とかは関係なく、僕が描いている内容だとjwwが使いやすいなと感じていて、自分の事務所をはじめてから今まで実施設計はjwwを使っていた。jwwはデータが軽いし、ソフトの立ち上がりが早い、設備事務所や構造事務所がjwwのところが多く、役所に納品もjwwでよかったりするのでいろいろメリットがあったし、そもそもソフトがフリーなのでお金の面でも助かっていた。ただ、手の痛みのことを考えるとクロックメニューでドラッグを多用するし、スナップが右クリックなので最近は手に負担が大きい気がしてきた。そもそもマウスはそんなに右クリックを多用するようにできていないんじゃないかとこのごろ思う。最近取引先の関係でDRA-CADという今まで使っていなかったCADを試しに使っているんだけど、これは割と手に負担がかからないんじゃないかと感じている。とにかく右クリックが少ないのがいい。コマンドもできるだけキーボードに割り当ててしまえばポチポチクリックする回数もかなり減らせそう。スナップや選択方法のカスタマイズもいろいろできるので慣れたら早く図面が描けそうな気がしている。若干インターフェースがダサい気もするけどそれはjwwも同じことなので…。その辺は国産cadの硬派な感じもあって逆にいいんじゃないかとさえ思えてくる。

ずっと同じ姿勢がよくないというのも絶対あるので、朝走れるときは朝ラン、夜も走れるときは走る。ヨガっぽいストレッチも毎日する。朝走ると頭も朝からさえてる気がするので取り掛かりから仕事に集中できる。血行をよくするのが目的なのであまり長い時間かけず、走るのはだいたい5~7km。それでもたまに雨の日とか休んでも累計で月に100kmは超えるのでこんなもんかなと思う。コロナでしばらくバスケもできてなくて2キロくらい太ってたんだけど、走り始めるとすぐに元の体重に戻った。