文庫で読んだ。最近は、障がいのある人のこと、うまくいかない人を自己責任で片付けられてしまうことがどうも気になる。今のルールや法律、社会を前提にうまいことやったやつが勝ちみたいなのはやっぱやだなと思う。そういうゲームだと割り切っていい場面もたくさんあるし、一応同じ条件のもとで勝負したことにしないときりがないこともわかる。時勢に左右されすぎる就職活動のダメさとかくだらなさ、やり直しのきかなさ、そこでの差別の話はほんとにうんざりする。
今のところ自分はなんとか大けがなくやってこられたけど、中年になってきて自分なりにとらえてる世界像みたいなのがちょっとずつ変わってきてて、若い時よりもどちらかというと悲観的というか、綱渡りというか、少し間違えただけですぐ生きづらくなってしまう世界のように感じてしまっている。
それぐらい息苦しさというか、助長性のなさを感じる。昔はもっと寛容だったのかもしれないと考えることもあるけど、マイノリティが獲得してきた権利は今のほうがあるとも思う。
とはいえ自分は場面によっては心をロボットのようにして割り切ったり、仕事他諸々失ったりしても、NBA視聴(目が見える限り)、岩波文庫の読破(図書館で借りれば金はいらない)、ラジオを聴く(耳が聴こえる限り)、ジョギング、バスケ(この辺はある程度の健康が必要)等、それなりに充実して生きる自信も今のところある。脳に障害とかが出ない限りこういった考え事もすることができる(今まで身につけてきた知識とかは失うことはない)。自分を社会や制度にアジャストできた人が勝ちで、そうでない人は負けみたいなのはなんとかしたい。どう考えても社会や制度のほうが間違っていることもまだまだあるはずなので。
主人公と天皇(今の上皇)を対比的に描かれているけど、もちろん天皇も特に苦労なくあんな感じで笑顔でいられるわけではなく、最近出たオバマ回顧録でも書かれていたように、昭和天皇の息子として難しい歴史の中を生きてきたはずで、双方ある種避けられない生まれ持った何かがある。単に格差が広がっているとかそういうことでもない気もする。
マジョリティがマイノリティに気を使って生きていたりとか、その権利多数のほうがを認めてやっているみたいなのはもういやだなと思う。