若林恵の「さよなら未来」を読んだ。
発売されてすぐ買ってからしばらく置いてたんだけど、いい本だった。僕自身WIREDをよく読んだりしてたわけじゃないんだけど、内容も文体も好きな感じだった。なかでもVestaxの椎野さんの話がお気に入り。Vestaxが日本の会社だってのもしらなかったけど、社員に向けた心得みたいなものがあったのも意外に思った。
本業以外のことはやらないこと。物の仕組みに対する好奇心をなくさないことが大事。
ピーターライスの自伝を読んだ。
いろんな技術が専門化、細分化されていってそれはそれで高度になったり洗練されたりして来てるんだろうけど、ピーター・ライスっていうひとはここではエンジニアと書かれているけど、いわゆる今の構造設計者というよりも、もっといろんなことに精通している人のように思えた。建築家として名前が出てくるのはミケランジェロが最初だと学校で習ったのだが、ミケランジェロも多分すべてのことに詳しかったんじゃないかと思う。僕が扱っているような小さな建物でも構造や設備は自分でやらずに専門の人に設計をお願いしているんだけど(多分それが普通だと思うけど)、だいぶ上の世代の先輩たちは一人で全部やってしまう人も多くて(もちろんピーター・ライスみたいな高度なものじゃないけど)、僕は結構そういうのに昔から(学生のころから)なりたいなと思っていた。いわゆる意匠的なことだけじゃなくて、構造や設備、製造や流通等、物の仕組みがすべてわかったうえで設計することで過不足ないものができるんじゃないかといまだに思っている。
この本はピーター・ライスがもしかしたら死ぬかもしれないといった状況で、最後は本を書くことを選んだ(もう2つは闘病することと、抱えてるプロジェクトを継続すること)とあとがきに書かれていたけど、人は死ぬことを強く意識したら何か残したくなるんだろうか。
アルケミストは、レブロン・ジェームズが読んでチームメイトに勧めたと聞いて気になっていた本。図書館で借りて読んだ。
他にも著名人が愛読書にしたりしてるみたいだけど、あまりよさが分からなかった。自分が自己啓発みたいなのに偏見があるからかもしれないけど、なんか翻訳がほんとにこれで合ってるのかどうか気になってスッと入ってこなかった。それくらい違和感がある文章というか、あえてそうやって不思議で神秘的にして宗教っぽくしてるのか、もしかしたらほんとにそういう言葉の選び方で合ってるのかもしれないけど。夢をかなえるためには勇気を持てとか、予兆を読み取れとか、あきらめてはだめだといったよく言われることが書いてあっただけだったような気がする。
今年の年末年始は普通に12/29から1/6まで休んだ。
特にどこにも出かけたりしなかったので、買ったけど読んでなかった本を読んだり、タブレットでマーベル映画の観てなかったやつをまとめて観たりした。
どちらもいつも通りで面白かった。
あと、バスケの詰将棋のような本を読んだ。匿名の選手じゃなくて、実際にNBAとかであったプレーを元に出題されてるから、この選手だったらこんなことしそうだな、といったことを想像しながら問題を解くのがおもしろかった。実際、同じシチュエーションでも個人の能力によってベストなプレーは違ってくるわけだから、匿名だとだめだろうなと思った。
仙田満さんの本、ずっと前にkindleで買っていてようやく読み終えた。自分で自分が作った建築にこんなに年間たくさん人が来てますみたいなことばかり書いてあるから、自慢話に聞こえてもしょうがないんだけど、実際たくさん人が入ってるんだし、それなりの年齢だからしょうがないと思う。文章だけで建築の良さを伝えるのは難しいってことなんだろうなと思う(写真は少しあるけど、平面図のようなものはほとんどなかった)。それでも見学に行ってみたいと思ったものがたくさんあったからやっぱりすごい。紹介されてたものは、遠いところの建築も多いけど、子供を連れて行ったら喜びそうなのがたくさんあった。
今年の目標は節税。去年税金が高くてびっくりしたので(もうあんなに売り上げあることもないかもしれないけど…)。
とりあえず節税について勉強しようと思って、事務所を始めたころに買ったけど読んでなくて押入れに入れてあったやつを引っ張り出してきた。
フリーランスを代表して 申告と節税について教わってきました。
読んでみるととてもわかりやすくていい本だった。
今年は税金対策にiDeCoにも入った。あとはNISAの限度額くらいまで投資信託でもやろうかと思から、今年の序盤の読書は金の本ばかり読もうと思う。
GA156「総括と展望」を読んだ。
毎年この「総括と展望」の号だけ買って読んでいる。機能主義に代わるのもとして「いろいろある」という概念に置き換えられないかという仮説(藤本)が気になった。たしかに単純化したりミニマルな表現もの、図式のようなものよりも、ごちゃごちゃしてるというか、謎なもの、得体のしれないものをどうやってつくるかみたいなことに興味が向かっているような気もする。
新建築とかには載るけど、GAがあえて載せないものがあるっていうのも、なるほどと感じたし、谷尻誠さんや片山正道さんとかを「ジェネリック建築家」だといわれていることにもそういう分け方なのかと思った。建築史とガッチリつながって仕事をしているひととそうでない人で「建築家」とそうでない人を分けてたみたいなんだけど。
藤村さんと藤森さんの「メディアのゆくえ」もおもしろかった。去年から学会誌の「建築雑誌」のことは気になってたんだけど、やっぱり読んでみたいなと思った。四会のうち、士会と事務所協会は入ってるんだけど、学会と建築家協会はまだ入ってない(建築家協会はたまに誘われるけど、自分が建築家(建築史とガッチリつながって仕事をしている人)だと名乗るのはどうかなと思うので、加入する気はない)。今年は学会に入ってみようかな。
「そろそろ左派は〈経済〉を語ろう」を読んだ。
「右翼の戦後史」を読んだ後になんとなく左の本も読みたいなと思って買って読んだ。
右は内と外で分けるけど、左は上下(金持ち/プロレタリアート、難民等マイノリティ)で分けるといった整理の仕方はわかりやすいなと思った。
外国人労働者を低賃金で雇うと国内の労働者と競合してしまって、結果対立してしまう。すると国内の労働者は排外的になって右の政党を支持する(そもそもこの右の政党が外国人を低賃金で雇えるような仕組みを作ったとしても)といった謎の現象が起こっている。全体を守る(賃金を上げるなど)ことが必要。
安田浩一の「「右翼」の戦後史」を読んだ。kindleで読んだ。いい本だった。
なんとなく「右翼」と聞けば街宣車とか最近だとネトウヨとかヘイトスピーチなどの物騒なイメージがあったんだけど、ちょっとイメージが変わった。本当というか、保守本流の筋が通ったちゃんとした右翼の人たちもいるんだなと思った。
この本の著者の安田さんはできる限り一次情報にあたられてるので(これはすごく大変だったのではと思う)、何か迫るものがあった。安田さんは右翼でなないんだろうしけど、本来右翼はこうあるべしみたいな著者のいら立ちのようなものも書かれている。
もともと左翼の人たちが右翼に転向したケースが多いことにも驚いた。社会への関心が高い人たちが左から右に振れたりすることがあるということ。そもそも関心がなければどっちかということもない。自分のスタンスに無自覚でいることや、デマに踊らされたり、全く無関心だったり、そういうのが一番よくないなと思った。