ぺいちくのブログ

本と建築のブログです。https://twitter.com/paychiku

老人と海

ヘミングウェイの「老人と海」を読んだ。

文庫本で読んだ。読んだことあったような気がしたけど読んでなかった。そもそもヘミングウェイの本は武器よさらばとかも読んだことないし、一冊も読んでなかった。読んだ後に100分de名著のヘミングウェイの回も観たりした。報道で培われたシンプルな文体がいいと言われているヘミングウェイなんだけど、そもそも翻訳でその良さがどれだけ残るのかなと思ったりもした。ただ同じ翻訳で最近読んだドストエフスキーなんかは翻訳でもおもしろいくらいくどかったので、文体が翻訳で雰囲気かわるとかはないのかもしれない。

シンプルな文体で内容も短くて、内容もロマンがあってかっこいいんだけど、自分としては全然別物なんだけどドストエフスキーとかカフカみたいな暗くて気持ち悪い人がたくさんでてくる話のほうがかっこいい話より好みだということがよくわかった。

罪と罰

ドストエフスキーの「罪と罰」を読んだ。

光文社古典新訳文庫で読んだ。さすがの亀山先生の新訳で読みやすかった。

カラマーゾフの兄弟は学生の時に新潮文庫で読んだ記憶があるけど、そこまで読みにくくはなかったけど、今回読んだ新訳は本当に読みやすかった。しおりが登場人物のリストになっているのもよかった。

海外の本で岩波文庫であるものは岩波で読むようになぜかしていたんだけど、これからはそこにこだわらず、光文社古典新訳文庫を優先して読みたい。

罪と罰ははじめて読んだわけだけど、あらすじはなんとなく知っていた。今回も100分で名著をみてから読んだ(亀山先生登場回)。「罪と罰を読まない」も以前に読んでいたりもしていた(読んでいたことを忘れていたけど)。ラスコーリニコフがかなりめんどくさいやつということもわかっていたんだけどとても面白く読めた。他のも時間があったら読みたいけどとにかく長い。

朝ドラみたりすることを思えば短いほうかもなと思いながら読んだ。人が人を殺してしまうということや、そのあとにとる行動、考えることとを想像することが人間とは何かということを考えることにかなり近いなと思った。

 

 

 

連戦連敗

安藤忠雄の「連戦連敗」を読んだ。

積読になってたけどようやく読んだ。

大学3年生の時にそれまで全然やる気なかったのに急にやる気になって建築の本読んだのが安藤忠雄の「建築を語る」と「建築家たちの10代」だった。

「連戦連敗」はこれらよりももっと後で出た本だと思っていたら、2001年の本で意外だった。

大学3年生の夏休みにいろんなところ(ほぼ関西)に行って安藤忠雄の建築を見て回ったなーとか思い出した。その後もいろいろ見たけど、僕はローズガーデンとかTIME'Sみたいな大きくない商業施設なんだけど、ちょっと公共的なスペースをもっているような建物が結構好き。この本の中でも日本の公の場、広場の不在のことが書いてあった。

最近建築家の本はもう読まなくてもいいかなーと思っていたけど、新しい何かを期待するのではなく、何かを思い出すためにたまに読んだほうがいいかもしれない。

大学生向けの講義本だからかもしれないけど、この本を読んでいたら好きな建築のこととか、やる気があった時(いまもなくはないけど)のことを思い出した。自分と同時代よりも少し前で、近代建築のちょっとあと、カーンやアアルト、バラガン、スカルパへのあこがれがずっとある。この辺はクリティカル・リージョナリズムと言われてて、確か人によっては安藤忠雄もこの中に含めていたような記憶がある。たしかこのカーティスの本で。

この本学生の時にかなり読み込んだ記憶があるのに今なぜか手元にないから、古本サイトでいつか見つけて買いたい。

 

 

 

 

 

 

変身・断食芸人

カフカの「変身・断食芸人」を読んだ。

いろいろ訳があるけど、岩波文庫で読んだ。

昔読んだことがあるような気がするけど、改めて岩波文庫で読んだ。昔読んだのは確か新潮だったような気がする。今は光文社古典新訳とかあって、海外の名作とかはそっちで読んだほうがいいかもしれない(絶対読みやすい)。とはいえカフカの変身は短くてあらすじもだいたい知ってるから読みやすい。

最近自分のなかで流行っている本の読み方としてNHKの100分de名著(NHKオンデマンドで)を観てから読むというのがある。

もしくは読んでから観る。予習復習といった感じで内容も深まるし、著者やその国やそのときの時代背景などもざっと分かっていい。ネットで調べればわかることではあるけど、質も高いし効率もいいし(ネットで調べると似たような情報ばかりでてきて同じことを何度も読んでしまう)なによりもおもしろい。

カフカの回は「絶望名人カフカの人生論」の頭木さんがでていた。

頭木さんの話はラジオ(確か荻上チキsession)で何度か聞いていて面白かったと記憶しているからこの本も読んでみたい。

「変身」は昔読んだときとちょっと印象違ってて、昔は虫は結局なんのメタファーなのかということを考えながら読んでいたけど、今はあまりそのへんは気にならなくて、突然病気になって外にでられなくなったり(それが最初は意外と楽しめたり)、病気じゃなくて特に理由もないけどなんとなく引きこもりたかったり、そういうときもあるよなーと思ったりしながら読んだ。

断食芸人のほうははじめて読んだけどおもしろかった。変な話だった。

雌伏三十年

マキタスポーツの「雌伏三十年」を読んだ。

マキタスポーツの自伝的小説。東京ポッド許可局を欠かさず聞いている者としてはとてもおもしろかった。売れてない時代のことや、芸人になる前のぼんやり何者かになりたいとか言っているような、自意識をこじらせているようなちょっと恥ずかしいようなことが隠さず書いてあってよかった。

ラジオを毎週聞いているから結構知っているような気がしたけど、そもそもマキタスポーツが芸人としてどんなことをやっているかよく考えたら全然知らんかもなとおもった。モスバーガーのバイトことはラジオとかで聞いていたけど音楽のこととかぜんぜん何をやっているか知らんかった。

 

 

 

A

中村文則の「A」を読んだ。

図書館で借りて読んだ。短篇集だった。

病院の待合で読んでいる途中いくつか官能小説みたいなのがあってどうしようかと思ったけど、たぶん誰もみてないはずだから普通に読んだ。

最後の「二年前のこと」は小説というよりほんとの話なのかもしれないけどなんか心にくるものがあった。一つのことを成すために他の物(人間的なもの)をなくしてしまっているかもしれない、ということは小説家だけではなくてみんな何かしらあるかもしれないので。

この短篇集の中でいくつかでてきたもので印象的だったのが、年を重ねればタフになると思っていたけど全然そんなことなかったということ。僕もそう思う。肉体的に弱ってきたからとかではなく、世の中のこわさ、難しさなどを思い知って、配慮しないといけないことの多さや、何か見落としてないか気にしたりでタフになんかなれない。若いときのほうが分かっていなかったり、分からないふりしていろいろできた。もう少し年をとればタフになれるのかもしれないけど…。

 

あなたが消えた夜に

中村文則の「あなたが消えた夜に」を読んだ。

図書館にあったので借りて読んだ。中村文則の本で読んでないやつがあったので順番に読んでる。

エンタメミステリー感があってよみやすかったしおもしろかった。エンタメミステリぽい中に神とか罪とか罰とか生きづらさとか少しの希望とかいつもの感じが入っていてよかった。