古谷田奈月の「フィールダー」を読んだ。
図書館で借りて読んだ。多分今年読んだ本のなかで一番の本。
文化系トークラジオLifeで話題になっていたので読んだ。
世の中のありとあらゆる矛盾が盛り込まれていて、それでいてちゃんと1つの話になってておもしろかった。
「この世界はめちゃくちゃで、矛盾だらけ」でリベラルしんどいと今年はずっと考えていたけど、この本の橘は同じ出版社という会社の中でいろんな立場の本や雑誌(週刊誌、文芸誌、インテリア雑誌、少年漫画)や意見があってどう筋を通すのかと問われても「筋を通さない」と答えて、それでいいのかもと思った。会社だけじゃなく、ひとりの人間も一つのルールや原理に無理に縛られなくてもいいのかもしれない。そもそも環境や立場によって意見がかわって当然で、ひとつの原理に統合できるわけがないのかもしれない。
犬や猫はかわいいけど、熊は人を襲うから殺すが人間本位なのかどうかちょっと自分には分からない。自然の摂理として熊に食べられてもいいというのも極端だと思うし、そもそもやられる前にやるも含めて自然かもしれないし。
橘が仕事とかやることいろいろいそいで片づけて夜の11時にゲームにログインしていつものパーティーでモンスターを倒しに行くのいいなと思った。僕がやっているのはスプラトゥーンで、いつも野良で味方も毎回違うけど、協力プレイで自分が自分のチームの役割をブキの組み合わせで立ち回りを判断して勝ったり負けたりするのが本当に楽しい。
児童福祉の研究者である黒岩が当事者でないことをコンプレックスに思う気持ちはちょっとわかる気がする。建築史家が建築のことを批評しても自分は設計全然できないじゃんと言われがちなのと同じ感じで。でも研究者や批評家がメディアで発言したりしてシーンをつくっていったりするわけだから、それはそれで実践者だというのは間違ってないと思う。